大切なことを忘れている和尚!

お義母さんの1周忌と内施餓鬼を同時に行おうということで、準備に大忙しの毎日でしたが、ようやく7月24日を迎え滞りなく法事が済む予定でした。暑い中を親戚や友人がたくさん集まってくれて本当に有難いことです。

予定時間に少し遅れて和尚が到着し、早速お経を始めようとしたときに、
「あっ、お塔婆を持ってくるのを忘れた・・・」と和尚がつぶやいたのです。
この和尚は忘れ物が多く、いろいろなことや物をよく忘れてきます。私たちは、まだ若いから仕方がないとあえて細かいことは進言しませんでした。本当によく忘れるのです。
お塔婆というのは、木でできた縦長のお札のようなものに戒名が書かれていて、自宅で供養した後お墓の横に立てておくもので、故人を供養する時に使う大切なものです。法事のたびに和尚が自ら筆を取り心をこめて書くもので、お経をあげるという行為の次にしなければならない和尚の大切な仕事のうちのひとつです。そのお塔婆をしょっちゅう忘れてきたりして、7日ごとの供養の日にも無しでやることも少なくありませんでしたが、まさか1周忌と内施餓鬼を同時にやる大切な日にも忘れてくるなんて・・・とあきれていると、
「あのー、車にありますので取りに行ってきます」と、言いながらなかなか立ち上がりません。あわよくば 「いいですよ、無くても・・・」と言ってくれないかな、と思ってるんじゃないかしら?と思うくらいの緩慢な動作です。
「えっ?また忘れたんですか?」と私。
「あっ、イヤその、車に行けばあります」
(じゃあ、サッサと行けよ!)心の中の毒舌が聞こえたのか、しぶしぶ取りに行った次第です。

新聞紙にくるんだ大切なお塔婆をあけて立てながら、
「では、お待たせしました。本日の法要を始めさせていただきます」と行った時、
「エーッ?違うよ!それ!じいちゃんの戒名だよ」と息子。
「ん?あ、そうだ、それはおじいちゃんの戒名だよ。おじいちゃんの1周忌はとっくに終わったはずジャン・・」とみ・ん・な。
「えっ?そうでしたか?あ、間違えましたか?すいません。では、またあとでお墓に直したものを置いておきますから」と和尚。
私の怒りは頂点に達し、
「それはないでしょう!気をつけてくださいよ!」と、大きな声を張り上げた。

それから全て気まずい沈黙のままお経が始まった。どうなってるの?この和尚!
だいたいこの儀式が何のためにやるのかわっかてるの?一度に数万円も払うんだからまともな仕事をしろよ!第一おばあちゃんに失礼だよ。親族たちにも失礼だよ。ばっかじゃないの!お経を読む和尚の背中に、悪霊が憑くくらいの念を入れにらんでいました。

一日の全てがシンとした中、滞りなく済んだお寺の中で、息子が静かに和尚にお説教を始めました。お塔婆を間違えるというとんでもない行為、それを適当にすみませんで済ましてしまう行為、和尚としての自覚のなさ・・・

私たちの大切な大切なおばあちゃんへの思い、大切な大切な儀式が台無しになりました。これに懲りて和尚が改心してくれることを望みます。